首相の妄想文章です。例によって正確性は保障できません。(内務省)
グローランサー4
この物語の舞台であるノイエヴァール大陸には4つの国家が存在していた。
北方のイグレジアス王国
大陸唯一の民主国家にして、軍事国家デュルクハイム国
最大の領土、最強の軍備、高度な文化を誇るヴァルカニア王国
通商国家マーキュレイ王国
デュルクハイムは戦時において5万5千の兵力を動員した。ヴァルカニアもおそらく同等かそれ以上の兵力を戦場に送った。
数字で明示されている中で、これだけの兵力が衝突したのはグローランサーシリーズに例が無い。
戦場では魔法という失われた技術が短期間で普及した。さらに、魔動砲に代表される大量破壊兵器の使用があった。
兵器のみではなく、戦場ではしばしば召還士と呼ばれる人々の虐殺が生じた。
要するにこの戦争はグローランサー史上最大の戦いであり、同時に最も凄惨な戦争だった。
そして、その戦争は一つの終末にたどりつく、それは、ノイエヴァール大陸の全ての国家を州に改め、連邦を形成するというものであった。
これを主導したのは戦勝国であるマーキュレイ・オーディネル連合であった。
この連邦システムを実行するに当たり、同国が敗戦国に要求したのは国内の政治体制の解体と連邦への参加であった。
特に、国内の政治体制の解体は、デュルクハイムを除く全ての国に当てはまるものであった。何故ならこのシステムは各国が民主制度をとることを前提にしていたからであった。
デュルクハイムは古来より民主制をとっていたが、その他の国はそうではない。マーキュレイもイグレジアスもヴァルカニアも王政国家であった。王政と民主制は両立しうる場合もあるが、本編中で言う民主化とは王家を廃止し、選挙された議員による議会によって政治を行うことを指している。戦勝国マーキュレイですら王室は廃止されている。敗戦国の場合は言わずもがなだろう。
安定していた王政を破壊し、民主政治を創立するとなるとこれらの国々には大混乱が生じたものと思われる。
各国には立法機関たる下院が創設され、各々の国の法律を決定するが、それは大陸全土から選ばれた議員で上院での審査を受けることとした。
また、連邦においては各国の常備軍は縮小傾向にある模様である。連邦軍が組織されたかは不明であるが、警備隊の存在は知られており、ある程度の軍事組織は存在するようである。
この戦勝国の要求に対し、敗戦国は同意した。
その主因となったのは敗戦国軍隊の壊滅と圧倒的なマーキュレイ・オーディネル連合の軍事力であった。この時のノイエヴァール大陸の覇者は紛れもなく彼等であった。
グローランサー史上においていくつかの戦争が行われたがその戦後処理は次のようなものであった。
グローランサーT
三国戦争(ローランディア+ランザック VS バーンシュタイン)
エリオット軍が王都を陥落し、全土を制圧した。敗北したバーンシュタインでは国王がリシャールからエリオットに代わった。だが、領土割譲や賠償金要求が行われた形跡はなかった。
グローランサーU
ローランディア・バーンシュタイン戦争(仮)
ウェインによる堰の破壊がウォルフガングの陰謀であることが判明し、戦闘は中断した。おそらく領土要求は無かったと思われる。
傭兵国独立戦争(バーンシュタイン+ローランディアVS傭兵国)
バーンシュタインが勝利すると傭兵国は解体された。これはバーンシュタインが叛乱と看做したせいもあるのだろう。一方傭兵国が勝利する場合、バーンシュタインは主力軍の壊滅と王都陥落により休戦を受けいれ、庸兵国の独立を認め、領土を割譲した。
グローランサーV
キシロニア連邦及びシェルフェングリフ帝国とアグレシヴァルの戦争では、帝国内乱のさなかということもあり、戦局も曖昧なままで戦争が終わった。領土や賠償金の要求もなされなかったと思われる。
一応敗戦国と思われるアグレシヴァルは帝国領より撤退したが、主力軍は健在である。
グローランサーX
グランゲイル・ネイラーン戦争(仮名)
戦争に勝利したグランゲイルがネイラーン全土を制圧、これを併合しその支配下に置いた。同国は隣国のシリルティアも併合を狙い、軍を進めた。
グローランサーY
フォメロス国とヒンギスタン王国の戦争はフォメロス国の撤退をもって終了した。なお、ヒンギスタン王国はこの戦争の最中に革命により王政が廃止され、民主制に移行した。両国間になんらかの条約が結ばれたことは想像できるが、賠償はともかく、領土の変更はおそらくないものと思われる。
この中で、一番苛烈な条件を出されたのはグランゲイルに敗れたネイラーンであろう。
同国は、国そのものがグランゲイルの版図の中に消滅した。
これに比べると、Wの敗者達への条件は寛容だったといえる。
「支配されるよりはマシなのでは・・・」というヴァルカニアの文官の言葉はこれを表している。
しかし、その他の事例を見るとマーキュレイの条件は寛容とも言い切れないものがある。戦場で圧倒的な戦果を挙げて、勝利したものに、傭兵国勝利の場合の休戦条件があるが、これはバーンシュタインからの独立を求めるものであった。だが、バーンシュタインの政治制度を変えることを要求してはいない。常備軍の縮小も戦後の傭兵国が主導するシステムへの強制加入は想定されていない。
三国戦争での戦勝国ローランディアとランザックもバーンシュタインの現国王リシャールの廃位は要求したが、領土要求は行っていない。政治制度の解体も要求していない。
このように見てくるとマーキュレイの要求は苛烈なものと考えることもできる。他国の統治機構を自国の正義に基づいて解体したり変化させたりできるのは征服者以外にはあり得ない。マーキュレイ・オーディネル連合はヴァルカニアとデュルクハイムそしてイグレジアスを征服したのである。
「考えようによっては自治権がもらえるんだから」とのクリストファーの言葉がそれを表しているのではないだろうか?
自治権が得られるとは征服された国が何らかの事情で征服している国からそれを与えれるものではないか。
もしも、デュルクハイムの敗戦により息を吹き返したイグレジアスが「我が国は貴国と交戦状態に無く、このような国家主権を侵すかのような要求に従う道理は無い。よって、貴国の要求を退けるものである。」と宣言したらマーキュレイとオーディネルはデュルクハイムに対して行ったのと同様にイグレジアスに兵を進めるのではなかろうか?その信じる理想を具現化するために。
未曾有の大戦争に圧倒的な勝利を収めて、大陸全土を征服したマーキュレイ・オーディネル連合はその信じるところに従い、大陸を再編した。それが、ノイエヴァールの連邦システムであった。
しかし、この時代の征服者として見た場合、マーキュレイ・オーディネルの要求は寛容であり同時に公平であった面を無視することはできない。
グローランサーWの世界において、征服者が敗者をどの様に扱ったのかを知るのには次の言葉が適切と思われる。
「君は確かに王の首を差し出した。だが、それでヴァルカニアの国民は守られる・・・」(クリストファー・オーディネル)
王の首を差し出さねば(差し出しても)敗戦国の国民は非道な扱いを受ける事例があったことを物語る。だからこそ、ヴァルカニア王は敗戦時には自らの首を差し出して国民を守ることを王の義務とし、実際その様に行動したのだろう。
そして、デュルクハイムに敗れたイグレジアスは強制的に王政を解体されている。そして前記した「考えようによっては自治権がもらえるんだから喜んで乗ってくる」というクリストファーの言葉から推測して、自治権が認められていない状態を強要された。
このようにノイエヴァール大陸では征服者は敗者をしばしば過酷に扱うことが多くあった。そのような時代であった。
マーキュレイとオーディネルは被征服国に自治を認め、そして、自らの正義に忠実に自国の王政を解体した。彼等が勝利したのは憎しみが溜まりやすい未曾有の大戦争であったにも関わらず。この点は強調してもよいことなのではなかろうか?
ともあれ連邦は成立した。
しかし、課題は多い。王政から性急に民主政治に移行したためか、各地の混乱は大きい。
各地には特権を奪われた貴族、議員との衝突があり、さらに、各国の利害の対立がある。ヴァルカニアでは連邦を転覆すための陰謀が巡らされた。
これは新しい秩序が大陸に生まれるための産みの苦しみだろう。
この新秩序は創設者が意図したように大陸の平和を維持し、人々の暮らしを守れるのか、それとも、その体制の故に新たな悲劇を引き起こす原因になるのか?
未来はいまだに定まっていない。
「同盟軍もデュルクハイムと戦っている以上、2面戦争を終わらせたがっているはず。こちらから降伏を行えば、条件交渉も有利に進められよう。我が首を手土産に終戦を行うがいい。」(ヴァルカニア王)
「確かに君は王の首を差し出した。だが、それで、ヴァルカニアの国民は守られる。涙を流しながらそれを実行した君は、絶対に最低なんかじゃない。其の責務を投げ出さなかった君は、本当に忠誠心のあるロイヤルガードだ。」(クリストファー・オーディンル)
「一応は降伏勧告を出すことになっている。デュルクハイムに負けて、王政が解体されているからこちらの法案とあまり変わらない。すでに、戦う力の無くなった国だし、考えようによっては自治権がもらえるんだから、喜んで乗ってくるだろう。」(同上)
「我々に敗北したヴァルカニアは、この法案に従うしかないだろうな。」(同上)
参考文献:「グローランサーWキャラクター・シナリオコレクション」
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