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5   ジェームズ・ウェリントン
更新日時:
H20年3月2日(日)
ジェームズ・ウェリントン
 
 シェルフェングリフ帝国第2王子。
 皇帝オーギュスト・ウェリントンの死後、自ら帝位に就くべく、活動を開始。オーギュストの実子を立てようとするその母テオドラとの間で内戦を戦う。内戦の途中でシオンに裏切られ幽閉され、以後事態をコントロールできなくなった。
 彼に対する評価はあまり芳しいものではない。能力面では農政への無知が最大のものであろう。「グローランサー小説版」ではリンデンバーク周辺の飢餓状態が彼の暴政によるものであると非難されている。
 また、人格的にも庶民の感情とは相容れない部分がある。スレインに同行したアネットの手記には「あんな奴は倒されて当然だ。あとのことは頼んだぞ」など、内乱により多くの死者が生じたことを考えれば、不謹慎に聞こえる彼の肉声が記されている。実力主義を唱えながらもその心情においては徹底した貴族主義者なのかもしれない。
 だが、その一方で彼を評価する声がある。帝国三将軍の一人、ヴィンセント・クロイツァーは幼少の君主よりもジェームズに帝国を統治する器量を認めていたからこそ、彼の軍に加わったのであり、ジェームズもその期待に応えていた。
 彼は是とする意見であれば、例え若輩将校の意見であってもそれを取り上げ。実力あるものはたとえ、平民であっても重要な役職に登用した。この実力重視の人事は、テオドラ・ウェリントンが貴族でなければ、重要な役職にも就かせず、意見も取り上げないとする姿勢に比べて、遥かに開明的であった。
 実力から選ばれた士官に率いられた、ジェームズの軍隊は貴族という身分にしがみついていたテオドラの軍隊を撃破し、一時は帝国の6割をその支配下に置いた。
 また、アグレシヴァル参戦後のテオドラ派の攻勢に対しても、その力を読み、的確なタイミングでデルフィニアを放棄している。
内乱の途中でシオン一派の企みを見抜けず、幽閉されたことは失点ではあるが、謀略家、政治家としては、ある程度有能と評することはできるだろう。
 帝国内乱発生の責任は誰が一番重いのかは議論の余地がある。
 内乱を起こし、5万の魂を得ようとしたシオン一派か?
 皇帝を殺し、侵攻の契機を作ろうとしたアグレシヴァル軍総司令ゲルハルトか?
 わが子を皇帝に即位させることに狂奔したテオドラ・ウェリントンか?
 自ら皇帝になろうとしたジェームズ・ウェリントンか?
 皇帝暗殺と内乱にいたる過程を物語る資料は少ないので、結論を出すのは難しいが、現在の資料から言えば、侵攻を企図して皇帝暗殺を行ったアグレシヴァルと内乱を煽り、最終段階では住民の大量虐殺をも行おうとしたシオン一派が最も責任が重いように見える。
 だが、テオドラもジェームズもその責任を免れることは出来ないだろう。内乱を起こそうとし、扇動した一味がいるとしても、2人の決定的な対立という基礎がなければその謀略は成功しない。
 決定的な対立は避けられなかったのか?皇帝一族の論理。有能な君主を望む心。野心。様々な要素が2人を対立に向けさせた。
 そして、両者の名の下に行われた内乱で帝国は甚大な被害を蒙った。
 食糧危機が叫ばれつつある時に、農村から働き手を奪うことになる、内乱を引き起こせば、損害は必然である。
 ジェームズ・ウェリントンは帝国が有した優秀な指導者の一人だった。そして、その最大の欠点はあの時代にあっては危険な野心家であったことにあるのだろう。
 内乱終結後、ジェームズは生き残ったものの帝位に就く野心を失った。その時彼の脳裏に何があったのか?それを伝える資料は残されていない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ほんとに、個人的な作文ね・・・・・
 




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