21      総本山の蒼い月 第1部
 
◆ 総本山の主 ◆
 
 
 太古の昔、全能なる神はその御技でこの世界を創り給うた。
 世界を創造して後、神は自らの代理人を地上に遣わした。
 この世界を形成する精霊を操ることが出来る存在。
 精霊使いである。
 精霊には6つの種類がある。
 光、闇、地、風、月、水
 精霊使いもそれに従って、6つのグループに分かれる。
 光の精霊使いは陽光のバランスを
 闇の精霊使いは魂の輪廻のバランスを
 地の精霊使いは地力のバランスを
 風の精霊使いは時空と風のバランスを
 水の精霊使いは水のバランスを
 月の精霊使いは人の感情のバランスを
それぞれ司った。
 この6つの精霊使いのグループはそれぞれ、人知れぬ場所に本拠地を作った。やがて、それは総本山と呼ばれるようになる。
 自分達の存在が伝承になった後も彼等はそこで各々が制御できる精霊を操り、世界の均衡を保ち続けた。
 だが、その均衡は崩れつつあった。
いつのことからか、太陽の光が弱くなりだした。
 始めは誰もわからないほどの小さな異変でしかなかった。だが、それは確実に大きくなっていった。
 陽光の減少は植物や木々に影響を与え、動物達が食べる食料を減らした。
 世界的な飢餓がはじまった。
 飢餓はひどくなりこそすれ、回復することは無い。
 陽光はますます弱くなる。飢餓はさらに広がり、食料を求めての殺し合いが巻き起こった。
 世界は滅びへと舵を切っていた。
 
 
 闇の総本山に陽が落ちたことを知らせるベルが鳴った。闇の総本山は地下に建設されているため、日没を知らせることができるのはこのベルの響きだけだ。と、言っても、この総本山は闇の中にあるわわけでもなく、人口の光によって、照らされている。そして、その光もベルを合図にその光を弱めていく。
 一日の仕事を終えた、精霊使い達が家路につく。
 だが、この闇の総本山の主である、ダークロードの館は例外だった。
 館の一室で、総本山の主は世界の危機にいかに対処するかで頭を痛めていた。
 太陽の異状によって滅びた国、八各国。
 戦争 50件
 人間の死者3000万
 その何倍もの他の生物の死。
 窓の外から見える総本山の光景を見下ろしながら、ダークロード ルドルフ4世はその恐るべき数値をみつめていた。
「前の大災害が遊びに見えるな・・・」
 200年前、この世界は今と同じく、災厄に見舞われていた。今とは逆に太陽の力が強くなりすぎたのだ。光の精霊使いにも制御し得ない程光の精霊が活性化したためだった。世界的規模で旱魃が起こり、その結果100万の人と一つの国家が世界から消えた。
 こうした、精霊が精霊使いの能力を超えて暴走することは、それ以前でも例がないわけではないが、それほどの被害を及ぼすのは前代未聞のことであった。精霊使い達はその災厄をのことを「大災害」と名づけた。
 だが、今の災厄はその比ではない。ルドルフ4世の苦悩は深い。
 ましてや
「その原因がかつてのダークロードだとは・・・」
 やりきれないという表情でルドルフは言った。
 彼の言うところの「かつてのダーク・ロード」とは、200年前の大災害が起こったときのロード、シオンのことである。
 彼が今の世界の災厄を引きこしている。
 ダークロード シオン2世・アドルフは人間界からその常人離れした精霊の力ゆえに闇の総本山に連れてこられたという経歴を持っていたが、ロードに即位してからはその責務を全うし、名君と称されていた。
 その名君が変わり始めたのは、大災害が終わってすぐのことだった。
 彼は大災害であれほどの被害を出した原因を6つの精霊の総本山があまりにも非協力であったこに求めた。
 それは当たっていない訳ではない。
 この旱魃を防ぐにあたり、各総本山の協力などほとんどないのと同じだった。
 自分達の仕事に没頭する余り、協力を忘れた彼等の態度は大災害の被害を軽減する機会を何度と無く棒に振った。
 それは、大災害が終わった後でも変わらない。
 シオンは全ての精霊を束ねることが出来る王のような存在が生まれれば、このような惨事は起こらない、と考えるようになった。
 そして、
 その地位には自分がなるべきであるとも
彼はやがて、全ての総本山を従わせるために自分の精霊力を禁忌とされる術を用いて強化し、さらに、闇の総本山の軍事力強化にも乗り出した。
 シオンの考えは大災害で少なからぬ被害を受けた闇の精霊使いの心を捉えた。
だが、それでも他の総本山を支配下に置いて良いとする考えに多くのものが反発した。
 シオンは反発にあっても自分の考えを貫いた。闇の精霊使い達はその火遊びを止めるため、クーデターを決行し、シオンを倒した。
 ロードがクーデターでその地位を失うなど前代未聞のことだった。
 これで、すべてが終わったはずだった。
 だが、シオンは憑依の秘術を使い、自分の魂を他人の体に憑依させることで生き延びていたのだ。
 彼と志を同じくする同志とともに。
 その後、シオンは憑依の秘術や他の禁術を乱発した。使った人間はその術の結果、他の精霊を麻痺させる波動を帯びるようになる。そして、それは本人の精霊の資質の対になる精霊。シオンの場合は光の精霊にもっとも影響する。
 光の精霊がそれに強く影響されたため、太陽の異状が起こったのだ。
 それを鎮めるにはシオンを倒し、その波動を消す以外に道は無い。
 総本山はシオンを討伐しようとしたが、その度に憑依の秘術で振り切られた。さらにシオンの思想に共鳴して他の精霊使い達も彼の傘下に入るようになり、討伐はより困難になっていた。
 クーデターからじつに200年の時が経過していた。
 その間に太陽の異変によって多くの人が命を失った。
「・・・・ダークロード様。」
 部屋に一人だけ控えていた女性が心配そうにロードに目を向けた。
 それに気付いたルドルフは苦笑した。
「ああ、すまない。別に弱気になっていたわけではないんですが・・・」
「いえ、心中お察しします。闇の精霊使いなら誰でもそう思ってしまうでしょうから。」
 女性は名前をリュフィーといった。
 今から数年前のロード候補試験でルドルフと争った人だった。ルドルフが即位してからは補佐官として、彼を助けていた。
彼女にはルドルフの苦痛が良く分かっていた。
 わからないはずが無い。
 この災害を止めたいという気持ち。
 シオンを取り逃がしたという知らせ。
 広がっていく世界の被害の報告。
 その報せを聞くたびに何度、気落ちしたか分からない。そんな経験を共にしてきた。
「しかし、デルフィニアからシオンがフェザーランドに向かうというのが本当であれば、勝機はあります。たとえ、それが間違いだったとしても、他の総本山のロード達との会談を行えば、私達に有利に働きます。」
 ルドルフはシオンを倒すべく、一つの決断を下した。全ての事実を他のロード達にも話し、共同でシオンを倒そうという決断だった。
 すでに、6つの総本山には使者が送られていた。そうでもしなければ、シオンは倒せないと考えての決断だった。
 だが、今から一週間前、情報部からもたらされた情報は闇の総本山の首脳に希望を与えた。
 シオン自らフェザーランドで進行中の時空制御計画を妨害するために艦隊を率いて出撃するという情報だった。
 もしも、それが本当ならば、その艦隊を撃破しシオンを倒すことも不可能ではない。
 だが、本当にシオン自身が出撃するのかについてまだ、確証が持てなかったため、さらなる調査を続行させていた。
「・・・リュフィー、その情報なんですが・・・」
「はい。」
「囮ということはないでしょうか?」
「可能性はありますが、彼等がこの総本山を襲う手段がありません。少数のシオンシンパのテロも考えられますが・・・ともかく、シオンを討ちに行くとしても最小限の兵力はここにとどめたほうがいいでしょうね。」
「・・そうですか。」
 その時、ドアをノックする音が響いた。
「ロード様。クライストです。」
 情報局のクライストの声だった。彼が来たということはシオンの情報を掴んだのかもしれない。
「入ってください。」
 ルドルフが答えると、クライストの他にも数人の幹部達が入ってきた。
 どの顔にも興奮を抑えきれないという感情が浮かんでいた。
 クライストは報告した。
「ロード様、お喜びください。シオンがデルフィニアから出撃する艦隊に乗り込むことが確認されました。」
 ルドルフは思わず立ち上がった。
「・・・・!」
 クライストは興奮した面持ちで報告を続けた。
「潜入していた情報員がシオンの魂を確認したのです。どうやら奴は自分の魂をホムンクルスに移していたようなのです。」
「ホムンクルスか・・・」
「情報員がそのホムンクルスを確認しました。現在奴は艦隊と共にデルフィニアを出航し、南下中とのことです。」
 クライストは帰還してきた情報員ストローに詳細を報告させた。
 ストローはシオンがフェザーランド攻撃のために密かに整えていた、傭兵隊に潜り込み、直接シオンのホムンクルスと対面し、その中にシオンの魂があることを確認したのだ。彼のほかにエーリックという名前の情報員がなおも艦隊に留まっているという。
 間違いなくシオンはフェザーランドに向かう艦隊の中にいる。
 精霊使いが相手の魂を見分けられないわけが無いからだ。
 さらに、駄目押しのように、シオンがフェザーランド攻撃部隊に同行するという書簡も示された。
 これは千載一遇の好機といえた。
 何故なら、これまでは、居場所の分からないシオンを補足するのは至難だったが、今回は居場所を掴んでいる。また、海上ともなれば逃げ道も限られている。
 そして、憑依の秘術にしても最早恐れるに足りない。今の総本山の力を以ってすればシオンと戦っている場所全体に闇の結界を張り巡らし、シオンの魂をその中に拘束することが可能になっているからだ。
 そうなれば、この災厄は終わらせられる。
 どんなに願っても、目にすることが出来なかった瞬間が手の届くところにある。
「よくやってくれた。」
 エーンワースが目を輝かせながら進言した。
「ロード様!すでに、艦隊は出撃準備を完了しております。」
「ご決断を。」
 ルドルフは頷いた。
「出撃を許可する。」
「はっ!」
 幹部達は一斉に挙手の礼をとる。何人かの目には涙すら浮かんでいた。
 その中でリュフィーが言った。
「ロード様。私もエーンワース提督の艦隊に同行します。」
 リュフィーの申し出にルドルフや幹部達は驚いた。
「リュフィー。それでは、余りに・・・」
 と、ルドルフも止めに入ったが彼女は首を横に振る。
「シオンの魂を確実に封じ込めるには彼の精霊力に対抗できる人間が近くにいたほうがいいでしょう。」
 元々、ルドルフとロードの位を巡って競っていたリュフィーはルドルフとほぼ同等の精霊力を持っていた。
 単独でもシオンに対抗しうると言われるほどの力を。
「これは、もう2度と無いかもしれないチャンスです。これで終わりにしなければならない・・・それならば、私が行きます。ロード様は結界を張るためにもここに残って頂かなければなりませんから。」
「・・・・分かった。」
 ルドルフはそう言うと、次の指示を出した。
「それから、スヴァルツ。」
「はい。」
「シオンの魂を封じる結界を作る精霊使いを総本山に集めてくれ。それから、西側にいるものはなるべく、東の砦に移動させてくれ。」
「東の砦ですか?」
「総本山が攻撃される可能性があることを忘れてはならない。そのためには、相手の本拠に近いところに味方を置いていくのは不味い。」
「しかし、そんなことをしなくても・・・・」
「もしものための保険だ。」
「・・・承知しました。」
 スヴァルツは深々と頭を下げた。
 ルドルフは窓から見える総本山の風景をじっと見つめ、自分に言い聞かせるように言った。
「・・・・この戦いで決着をつけよう。」
 この世界の災厄を終わらせるために。
 
 
 
 
 
「ふう・・・・」
 ルドルフは誰も居なくなった、部屋で椅子に深く腰掛けた。
 先ほどまで居た幹部達はそれぞれの持ち場に散っていった。
 スヴァルツは精霊使いたちの東の砦への移動を指揮し、リュフィーとエーンワースは艦隊が出港準備を整えつつあった南の砦に向かっている。
 総本山はシオン討伐に動き出していた。
だが、彼の頭にはいろいろな不安が駆け回った。
 本当にシオンを倒せるのだろうか?
 ロードになってから7年。ずっと彼を支配してきた不安だった。
 シオンは追いかけても、追いかけても、姿をくらました。200年近くもだ。何が彼をそこまでさせているのだろう?自分のように総本山で生まれ育った人間には無いものがシオンにはあるのだろうか?
 そして、そんな彼を本当に止められるのだろうか?
 そこまで考えて、ルドルフは軽く頭を振った。こんなことを考えていたのでは、皆を不安にするばかりだ。
 今は決戦なのだから。
そんなことを考えていると、どこかで自分を呼ぶ声がした。
「スレインさ〜ん。」
 スレイン。
 その名前はルドルフが昔、ロードに即位した時に捨てた名前だった。
 彼本来の名前である。
 ダークロードは即位の時に自分の名前を捨て、新しいロードとしての名前を名乗る。
その名前を聞くたびにルドルフは少しだけ、ロードの重責から解放されるような気分になった。
 その古い名前で自分を呼ぶ人間の数は限られている。そして、この独特の柔らかさのある口調となれば答えは一人しかいない。
「ラミィ。」
「スレインさ〜ん。ラミィ戻ってきましたよ〜」
 闇の妖精のラミィが羽をパタパタさせながら、ルドルフの手のひらに降りてきた。
ルドルフは指で彼女の小さな額を撫でながら言った。
「お帰り、ラミィ。寝てなくていいのか?東の大陸から帰ってきたばかりで疲れているんじゃないのか?」
「もう、平気ですよ〜。」
「どうでした、月の総本山は?」
「綺麗な女の人ばかりでしたよ〜。皆優しかったです〜。シオンとの戦いにも協力してくれるみたいです〜。」
「そうか。」
 ラミィは月の総本山への使者に同行していた。以前、月の社に行ったことがあるという経験を買われたのだ。
 そして、使者をよく補佐して、月の総本山に辿り着き、帰ってきた。
 帰ってきた時に疲労で寝てしまったほど頑張ったのだ。
「おかげで、月のロードも私達の会議に来ることを承認してくれた。よく使者をたすけてくれた。ありがとう。」
「嬉しいです〜。私でもお役に立てたんですね〜。」
 ラミィは嬉しそうに微笑んだ。
 彼女のこの笑顔に何回救われただろう。
ラミィに会ったのは、スレインが精霊使いの見習いだったころのことだ。
 あの時の私は自分の精霊力を制御できなかった。その時の自分は人並みはずれた力を持っていた。見習いとは言いながらも普通の大人の精霊使いよりも強い力を。その力は当然総本山にとっては、シオンに対抗するための希望の星として、大切にされた。
 しかし、その反面、人からは恐れの目で見られた。誰からも、友人さえもそうだった。
 自然と孤独という名の牢獄に自分をしまいこむようになった。
 そんな時に彼女に出会った。
 スレインは手の中に居る妖精に尋ねた。
「ラミィ。私が君と知り合ってからどの位経つかな。」
「そうですね〜。12年くらい前になりますかね〜。」
「最初に会った時、私のことをどう思った?」
「う〜ん。あのころのスレインさんはとても暗かったですよ〜。今は違いますけどね〜。」
 スレインは苦笑しながら言い返した。
「ラミィは方向音痴だったじゃないですか。私の家の前で当方にくれていた。」
「あう〜。あれは・・・あの時は総本山に来たのが初めてで〜。」
 ラミィはスレインに初めて会ったとき、道が分からず、おろおろしている所を通りかかった彼に道を聞いた。
 それが最初の出会いだった。
 と言っても、道を教えても、ラミィは慣れない事と暢気な性格もあいまって、全く違った方向に行ったりしてしまう。放っておけなくなったスレインは結局、ラミィを目的地にまで連れに行ったのだった。
 その数日後、精霊使い見習いを卒業する時、卒業の証として受け取ることになる闇の妖精がラミィであることなど知る由も無かった。
 それからすっと2人は相棒だった。ラミィはのんびりした性格で時にはとんでもないことをしてしまう時もあった。もともと世話好きな面があったスレインは彼女のことが放っておけなくなってしまった。
 その反面、ラミィはスレインをよくサポートした。そして、その穏やかな性格は何かを背負い込まされて常に苦しそうな顔をしていたスレインにとって貴重なものだった。
 ラミィに関わっている間に、自然と周囲の溶け込めるようになっていった。
 世話をするつもりが逆にラミィに世話をされていたのかもしれない。
 いや、それはお互い様ですね。
 スレインは頬を膨らませるラミィを手の上に乗せた。
 彼は人間だから・・・・
 彼女は妖精だから・・・・
 という感情を捨てて、2人は互いを愛しいと思う気持ちを共有するようになった。
 彼女はロード試験の時も、ロード即位後もずっと自分の傍に居てくれた。
「どうかしましたか〜。スレインさん。」
 昔のことを思い出していたのが顔に出てしまったのだろう。スレインは曖昧に笑うと彼女を手の上に乗せたまま、椅子から立ちあがった。
「ラミィ。あれから12年経ったけれども。私はその間に一つ覚えたことがあるんだよ。」
 ラミィはスレインを見上げた。
「え?何ですか〜」
「ラミィはそうして髪をいじっている時は何か不安があるということですよ。」
「あ・・・」
 ラミィは顔を曇らせ、髪をいじっていた手を離す。
「何があったのか聞かせてもらえませんか?」
 ラミィはためらったようだったが、答えた。
「最近、思うんです。ラミィ・・・スレインさんのお荷物なんじゃないかって・・・」
「え?」
 スレインはラミィの言葉に驚いた。
 彼女のことをお荷物などと思ったことは一度も無かった。
「何故、そう思うんですか?」
「ラミィは妖精です〜。スレインさんが苦しんでいても・・・出来ることはたかが知れています〜。スレインさんがシオンのことで悩んでいても何も出来なかったです〜。」
「ラミィ・・・」
 スレインはラミィの言葉に胸を詰まらせた。
「だから、月の総本山に行ったのか?」
「・・・・・」
 ラミィは沈黙したまま頷いた。
彼女は今回の月の総本山への旅でかなり無茶をしたと聞いていた。使者がシオンの刺客に襲撃されそうになった時は庇おうとして、かなりの怪我をしたりもしている。
 沈んだままのラミィをスレインは見つめた。
「そうか、君まで気を使わせていたんだね。」
 もしかしたら、自分はラミィに甘え過ぎていたのかもしれない。ロードとしての重圧を知らず知らずに彼女にも強いていたのかもしれなかった。
 そんな、彼の気持ちを察したのか、ラミィはそれを否定する。
「そんなことは、ないですよ〜。ラミィは、ラミィはただ・・・スレインさんの役に立ちたいだけなんですよ〜。」
「ラミィ、このシオンとの戦いも終わる時がくる。・・・そう遠くない時期に。」
 スレインはフェザーランドに向かうシオンに戦いを挑むことを伝えた。これに勝利すれば世界の災厄は終わる。
「シオンのことが終われば、息をつける時間も出来るでしょう・・・・戦いが終わった後も私は君に傍にいてもらいたいんだ。」
「スレインさん・・・・」
「君の気持ちは嬉しい。だが、無理はしなでくれ。」
 そして、これだけは忘れないでとでも言うようにスレインは付け加える。
「生きていてくれ。私にはそれが一番嬉しいんだ。」
 
(つづく)
 
 
更新日時:
2012/03/06 

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Last updated: 2012/7/8