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1   グローランサー5の感想
更新日時:
H24年1月8日(日)

 以下の文章は、第1首相の私的な文章です。よって我が政府の公式な見解ではありません。また、この文章にはグローランサー5について批判的な見解が含まれ、またネタバレもあるため、これらのことに嫌悪を覚える方は閲覧されないことをお勧めします。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
◆物語全体。
 
 グローランサーXのプロモーション映像にいわく。
 平和を求める旅が始まる・・・
 これがこの作品の主題であった。
 物語はアイザックとセルディスが創設した平和維持軍がまず、武器による平和を構築し、その綻びを息子のクライアスがそれを補完し平和な世を作っていくという展開である。
 ほとんどのイベントもこの基本の展開に基づいている。ネイラーン独立運動や副指令アイザックの暴走、セルディス親子のアドモニッシャーへの認識の相違と対立。などはその好例だ。
 「完全平和を目指しての戦い」というテーマはよく見られる事例である。近年のガンダムシリーズなどはその好例だろう。だが、それをファンタジーの世界に持ち込むの例は少ないのではないのだろうか?もっとも、この主題に対しRPGには不適当と否定的な意見も出るかもしれないが、少なくとも新たなものにチャレンジしたということは確かだろう。
 さて、作中においては、主人公達が平和を作り上げていく様が描写されていくが、彼等を阻む者はグランゲイル王国であったり、平和維持軍の過激派であったりした。だが、彼等は根っからの敵ではなく、「平和」という主題からして、和解していくべき人々だった。
 しかし、作中では最初から最後まで敵とした立ちはだかった存在が居る。
 スクリーパーである。
 彼等が最終的にラスボスになっていくのであるが、明確に「敵」と設定されているにも関わらずその描き方はいささか描写不足、迫力不足のように思われる。
 これは決して、設定が迫力不足という意味ではなく、平和の構築という物語の流れの中で、あまりにも存在が薄いという意味である。
 歴代作品のなかで人間とは違う異形の存在がラスボスとなる事例はTとWであるが、ラスボス達は自分達の復活のために或いは世界を支配するために人間を利用し、時には人間世界の戦争に直接介入したりもした。故に主人公達が人間世界の争いに巻き込まれていく過程におていも彼等は十分に自己の存在を主張できたのである。
 これに対して、スクリーパーの場合は人間世界の争いに関わらない。つまり平和の構築という主題に彼等は直接的に関わっていないのである。間接的には戦争の要因とはなっているもののTやWのラスボスのように世界を支配するために人間を利用して争わせたりはしない。ただ単に時たま人間に襲い掛かる。要するに自然災害的な位置づけである。
 スクリーパーの分身たる少女も台詞がなく、また、大胆な行動がなかったため、物語上でのインパクトは薄い。
 ラスボスとの戦闘という場面は物語の中ではクライマックスといえる部分である。その肝心のラスボスの印象が薄いというのは歓迎するべきことではない。
 スクリーパーという存在をもっと人間の争いに絡ませるか、「スクリーパーと人間の戦い」という面も作中で強調するべきではなかったろうか?
 
 
◆人物
 
ゼオンシルト
 本作の主人公・・・・のはずだが、その存在感が感じられないというのが大方の意見である。
 物語の主題は平和の構築である。それは親セルディスからその息子クライアスに受け継がれる物語である。その中にあって彼がどのような存在を主張できたであろうか?
 平和維持軍創設者の息子と正義戦隊赤と白の息子・・・この2人の主役争奪戦は戦う前から勝敗は明らかだろう。
 スクリーパーに対抗できる戦士という設定なので、テーマが「人間とスクリーパーの戦い」であれば十分にその存在を主張できただろう。だが、この物語の主題は違う。それが彼が作中で不遇であった理由なのだろう。
 ヴィジュアル面での評価が高いだけに残念なキャラクター。
 
 
メルヴィナ
 平和維持軍副指令アイザックの副官。
 帽子の羽のインパクトがあまりに強いため、そのことを揶揄されることがあるが、その他の評価は決して悪くない。むしろ好意的な評価が多い。
 苦言があるとすれば、度々、寝返ることであるが、そのことについての言及は作中では見ることができなかった。だが、それは無視してもいいことなのだろうか?
 
クライアス
 平和維持軍総司令セルディスの息子。本作の主人公的な役割を担う青年。
 キャラクター紹介では平和への情熱を失いつつある・・・とあるが、作中ではそのようなシーンはあっただろうか?
物語は彼を中心に展開し、そのため主人公の出番をとってしまうことが多い。そのため批判が絶えない。
 しかし、人格的には善良な人である。もしも、本作の主人公が彼に設定されていれば、批判は浴びなかったのではないだろうか?その意味では気の毒なキャラといえるだろう。
 
 
ファニル
 平和維持軍研究員。
 気弱ではあるが、ひたむきな眼鏡っ子である。
 ネット上ではあまり評価されていないように思われるが、作中ではそれほど悪いことはしていない。スクリーパー細胞移植技術の開発にしても、彼女自身は凍結を進言していたこと、移植を受けたゼオンシルトを助けることに奔走していることから、これは相殺されるべきものだろう。むしろプラスの評価を与えるのが適当だ。
 衣装のことについての批判も見受けられるが、もともとのコンセプトなので仕方ないことかもしれない。
 
ランディ
 シリルティア王国在住の歴史学者。
 パーティキャラのなかでは、もっとも人間的に成熟した人物。
 ゼオンシルトの正体が明かされる時の会話シーンなどは年長者の配慮が随所に感じられる。
 正義戦隊の構成員であったり、戦闘勝利時の台詞があまりにも熱血である点は彼のお茶目さを現すポイントである。
 
アイザック
 平和維持軍副指令
 作中での行動からラスボスでもないのに批判されることが多い。
 最終的には彼もまた「平和を作り上げた功労者」という位置づけがなされているように思われる。
 たしかに平和を作るにあたって汚れ役の存在は必要であるが、彼の場合「戦争では多くの罪亡き人が命を落とす。だから、こんなものは絶対に地上から無くさなくてはならない!」と主張しながら「グランゲイルは平和維持軍に逆らった。故に首都を砲撃、破壊する。結果として無辜の民間人の家を焼き、殺傷することになるがやむおえない。」「竜玉を使用することで大地の力が衰え、飢餓の要因となるが、平和のためにはやもえない」と言い、また、自分の考えから維持軍を分裂させてもお構いなし。など、行動があまりに過激であるため、その行動に至った理由、「何故、そのようにしなければならなかったか」に詳細な言及がなければ、「平和の功労者」と素直に納得させることは出来ないだろう。
 しかし、あらゆる批判をものともせず、過激な行動をとる彼の姿はある意味では壮観である。
 
セルディス
 クライアスの父、平和維持軍総司令。
 ロール1の主人公。平和維持軍を立ち上げる過程はそれなりによくまとめられている。
 アイザックが目立っているため、ロール5ではあまり目立っていない。
 アイザックに比べると温和的な意見を出すことが多いが、それはアイザックが汚れた部分を引き受けていたからともいえるだろう。この2人はコンビがなければ、維持軍が創設されることは無かったと思われる。
叛乱後のアイザックをそのまま副指令にしたことについては疑問もあるが、それは、彼を切り捨てると、組織が動かなくなるほど、維持軍の体制が脆く、また人材難であったからだという。
 
エイミー
 ゼオンシルトの幼馴染。維持軍に入隊し、スクリーパーを倒せる存在として、隊長に就任。しかし、その力の源は・・
 対スクリーパー能力に関することはゼオンシルトと同じ設定である。本等は作中で死亡する予定だったというが、実際は最後まで生き延びた。ゼオンシルトと接する機会が多く、また、陽気な性格であることから、攻略可能キャラでないことを嘆く人も多い。 
 しかし、当初の死亡するという設定から、考えれば幸福なキャラともいえるかもしれない。
 
 
◆国家
 
平和維持軍
 セルディスとアイザックそしてペルナギが中心となって作られた組織。
 古代兵器アドモニッシャーをもって、大陸に戦争が無い状態を現出させ、なおかつそれを20年間持続させた。
 それは、人員過小の組織を切り盛りし、過激なアイザックと穏健なセルディスの対立を調整してきたからこそでもあるのだろう。
 しかし、両者は派閥を形成しており、作中ではアイザックは自派を率いて維持軍を離脱さえしている。さらにこれとは別にセルディスとクライアスが対立した時も、クライアス派は維持軍を離脱する構えを見せた。この組織の目標は素晴らしいかもしれないが、その方法をめぐってこうも分裂を繰り返すのではあまりにイデオロギッシュに過ぎる。
 平和という強力な信念の集団においては、隣人のささいな違いにも不寛容になるのかもしれないが、クライアスのつくる世界も決して完全なものにはならず、セルディスと同じように綻びが出てくるだろう。そして、その度にまた簡単に仲間割れを起こすのでは正義の組織としては心もとない。
 ED後の維持軍はこの欠点を克服したのだろうか?
 
グランゲイル王国
 大陸東方の軍事国家にして、最大の領土をもつ国であるが、その国土の南部はすでに砂漠化している。
 そのため、食料を確保すべくネイラーンに侵攻、主要部分をその掌中に収めた。
「グランゲイルが大陸を制覇すれば、平和で平等な社会が創造できる」が大義名分。
20年前の戦争でアドモニッシャーにより軍がほぼ全滅状態に陥ったため、維持軍には終始、敵対的な態度をとる。当然といえば当然の反応とするしかない。
 
シリルティア王国
 グランゲイルに次ぐ領土を持つ国家。
 王が病欠のため、姐のシェリスが国政、軍事を取り仕切っている。
 維持軍には協力的。国土は南のジャングルから北の雪の平原までと国土のバリエーションが豊かな国である。
 
小国連合
 存在はするが、物語の進展に全く関わらない。関わるとすれば、シェリス様の服装の話題のみ・・・ある意味では珍しい存在であろう。
 
◆戦闘システム
 基本的には、Tの戦闘システムを3D化したという感じがする。
 もちろん、違う点も多い。一番嫌なのはモンスターが異様に早く走り、すぐに密集してくることだろう。
 ツリーシステムは一応は理解できる代物ではあるが、個人的にはWで完成された様式のほうがいいと思う。
 
◆ロールシステム
 ロール1はともかく、ロール2〜4は内容が薄すぎるのではなかろうか?
 
◆3D化
 前作までのシステムは確かに卓抜したものであった。しかし、3Dが主流になりつつある現在において、この3D化の決断は批判されるべきではないだろう。



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